ヒトでは、マスク・カニューラーなどを用いて酸素投与し、呼気は外気に放散されますが動物ではケージに収容しての酸素投与ですので、呼気の逃げ場がなくケージに蓄積して行きます。
動物はケージに蓄積した炭酸ガスを再呼吸しており、これが思いのほか高濃度です。
吸入気の炭酸ガス許容濃度は如何ほどか?
人体に於けるCO2(炭酸ガス)濃度の基準値及び人体への影響を下に示します。
ヒトでは、マスク・カニューラーなどを用いて酸素投与し、呼気は外気に放散されますが動物ではケージに収容しての酸素投与ですので、呼気の逃げ場がなくケージに蓄積して行きます。
動物はケージに蓄積した炭酸ガスを再呼吸しており、これが思いのほか高濃度です。
吸入気の炭酸ガス許容濃度は如何ほどか?
人体に於けるCO2(炭酸ガス)濃度の基準値及び人体への影響を下に示します。
☆労働衛生のしおり:(事務所衛生基準規則第3条)室内環境基準=0.5%(5,000ppm)
☆学校環境衛生基準:1,500ppm以下が望ましい
人間におけるこの様な基準に準拠し、当社では動物用ではありますがケージ内炭酸ガス許容値の目途を5,000 ppm と考えております。
(米国の獣医科病院で使われているICUでも5,000ppmで警報を出すようになっています)
当社従業員の愛犬ムックちゃんに患者になってもらいました。
・キャバリアキングチャールズスパニエル
・名前「ムック」・9歳 ♂・体重 9.1kg
経過時間(分’秒”) | CO2濃度(PPM) | O2濃度(%) |
---|---|---|
09’00” | 2516 | 26.5 |
19’00” | 3440 | 32.8 |
29’00” | 4620 | 38.8 |
33’16″ 実験中止 | 5200 | 40.5 |
実験開始後 僅か30分にして大気の15倍のCO2濃度5,000PPMに達し、恐ろしくなり実験を中断しました。
この様な実態に鑑み、国内数か所の動物病院に於いて下記要領でCO2低減を試みて頂いた実例を報告します。
観察期間中の炭酸ガス濃度の最高値は10,600ppmを記録しています。
こちらの施設では「炭酸ガス蓄積」を確認されたのち、ICU装置の自動換気機能を起動されケージ内を一定間隔で換気する措置を実施されています。
画像に示されている青線は体動、緑線は温度、水色線は湿度、赤線は酸素濃度、オレンジ色線は炭酸ガス濃度の経時変化を示しています。
この症例でも、最高値は11,800ppmまで上昇しています。こちらの施設でも「炭酸ガス蓄積」を確認されたのち、ICU装置の扉を開放することで換気措置を実施されています。
更に、「炭酸ガス濃度5,000ppm」を扉開放による換気の実施基準として設けられました。
酸素ボンベにて酸素供給
夜間になって体動の増加に伴って炭酸ガス濃度が上昇傾向を示し、10,000ppmを超えています。
こののち、酸素ボンベに加え、テルコム社製酸素濃縮器H-16(流量10ℓ/分)を用いてICU装置の前面扉より濃縮酸素の供給を開始されています。
この結果、体動は大きい状況は継続していますが、炭酸ガス濃度は8,000ppmから3000ppmに下降し、酸素濃度も40%まで徐々に上昇しています。
アメリカのICUには炭酸ガス吸収剤(ソーダーライム)の使用が普及しておりますが入院費が高騰することが難点です。
当社の、毎分10ℓ及20ℓ(酸素濃度45%)の酸素濃縮器を利用した場合、ケージ内換気が促進でき炭酸ガス蓄積を抑制できます。
テルコムの酸素吸入システムは、ケージには敢えて隙間や換気孔を設け、更に酸素濃縮器は大量の酸素を送り込む独特の設計で、ケージ内への炭酸ガス蓄積を低減します。小動物の酸素投与に特化した酸素ハウスです。
3㎏の小型犬で、空気漏れが殆ど無いケージで、酸素濃度を40%で調節しておく場合を想定したシミュレーションです。
ケージ内酸素濃度が40%に達すると酸素の供給は停止します。
同時にケージには炭酸ガスのみが限りなく増え続け、3時間もすると5,000ppmに到達します。
時々扉を開けるなどで換気する必要がありますが、問題は夜間の対応です。